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「事業価値+不動産価値」で決まる、不動産の価値

図解:「事業価値+不動産価値」で決まる、不動産の価値

旅館・ホテルのM&Aですが、実態としては不動産の売買に近いとされています。譲渡価格は「運営事業としての価値」と「土地建物としての価値」の合算で決まり、どちらが大きいかで使われる査定方式が変わります。実務で使われるのは次の3つです。

EBITDAは「営業利益+減価償却費」、NOIは「賃料収入や運営収益から運営費用を引いた純営業収益」です。旅館・ホテルは設備投資が大きく減価償却が重いため、営業利益ではなくEBITDAやNOIで比較します。
実際には、①で概算をした上で、②や③の手法で値幅のレンジを設けることが多いですが、最終的には交渉により決定されます。

業態別の相場

図解:業態別の相場

倍率は業態・立地・規模で大きく変わります。以下、各業態における2026時点での一般的な目安となります

投資家調査によると、不動産価値の側から見る利回り(期待NOI利回り)と東京都心の宿泊特化型ホテルで4.2%、京都・大阪で4.7%、福岡で4.9%と、調査開始以来の最低水準を記録しています。利回りが低いほど、同じNOIに対して高い価格がつくことを意味します。地方の温泉地やリゾートでは6〜7%前後が目安で、都心との差がそのまま価格の差になります。

相場の上限を示す例として、2026年2月にジャパン・ホテル・リート投資法人が米KKRと香港ガウ・キャピタルから「ハイアットリージェンシー東京」を1,260億円で取得しました事例が挙げられます。国内REITによるホテル取得としては過去最大で、約750室の施設ですから1室あたり約1.7億円という水準です。地方の旅館とは事業規模も大きく異なりますが、「投資家がホテルに払える価格の天井が上がっている」ことを如実に示している一事例と言えるでしょう。

客室数・RevPAR・GOPから売却価格を逆算する5ステップ

図解:客室数・RevPAR・GOPから売却価格を逆算する5ステップ

本項より、日々見ている運営指標から、自分の施設のおおよその価格レンジを出す手順について地方の温泉旅館(30室、1泊2食)を例に見ていきましょう。

ステップ1:RevPARから客室売上を出す

RevPAR(販売可能客室1室あたり収益)= ADR(平均客室単価)× 稼働率です。ADR30,000円、年間稼働率65%ならRevPARは19,500円。これに客室数30室と365日を掛けると、年間の宿泊売上は約2億1,300万円になります。旅館の場合はここに日帰り入浴・館内飲食・物販などが加わりますが、まずは宿泊売上を軸に置いて考えましょう。

ステップ2:GOPを出し、EBITDAに引き直す

GOP(営業粗利益)は売上から人件費・食材費・水道光熱費・OTA手数料などの運営費用を引いた利益で、旅館の目安は売上の20〜30%です。総売上2億3,000万円、GOP率25%なら約5,750万円。ここから固定資産税・保険料・本部費を引き、さらに買い手目線でオーナー報酬を「市場水準の支配人給与」に正常化し、私的経費を除いた「調整後EBITDA」を作ります。仮に4,500万円としましょう。買い手が評価するのはこの調整後の数字であり、決算書の営業利益ではありません。

ステップ3:EV/EBITDA倍率を当てて事業価値を出す

地方旅館の倍率4〜7倍を当てると、事業価値(EV)は1億8,000万〜3億1,500万円となります。

ステップ4:収益還元法で不動産価値を出し、大きい方を確認する

同じ施設を不動産として見ると、NOI=調整後EBITDAから毎年の修繕積立(売上の3〜5%、ここでは約900万円)を引いた約3,600万円。地方リゾートの還元利回り6%で割ると、不動産価値は約6億円になります。事業価値より不動産価値が大きい場合、買い手は「不動産として買って運営は別に考える」評価をします。旧耐震や検査済証の不存在、数億円規模の修繕見込みがあれば、算出した価値(今回の例だと6億円)から見込み修繕費用を差し引かれた値が扱われます。

ステップ5:純有利子負債を引いて手取りを出す

株式譲渡の場合、オーナーが受け取るのは「企業価値−純有利子負債(借入金−現預金)」です。借入残高が1億5,000万円なら、事業価値ベースで3,000万〜1億6,500万円、不動産価値ベースなら4億5,000万円前後が譲渡対価の目安になります。この例が示すのは、旅館の場合「不動産価値が価格の下支えになる一方で、借入の大きさが手取りを決める」という構造です。

利回りから逆算する|買い手は「いくらまで払えるか」

投資家やファンドが買い手になる場合、彼らは自分の要求利回りから逆算して上限価格を決めます。NOI3,600万円の施設に対して、要求利回り5%の買い手は7億2,000万円まで、7%の買い手は約5億1,000万円までしか払えません。同じ施設でも、買い手の属性によって2億円の差が生まれるということになります。都心のホテルに投資してきたREITや外資ファンドは低い利回りで買える一方、地方の温泉旅館の買い手は同業の運営会社や地域の事業会社が中心で、要求利回りは高くなります。売り手側は、自分の施設が「どの買い手の投資基準に乗るか」を知ることが、価格を最大化する第一歩になるでしょう。

価格を押し上げる要因・押し下げる要因

同じ業態・同じEBITDAでも、倍率がレンジの上限に寄るか下限に寄るかは、旅館・ホテル特有の項目で決まります。

図解:価格を押し上げる要因・押し下げる要因

押し下げる要因の多くは「不透明さ」です。築40年でも、改修必要額と耐震の状況を数字で開示できれば、買い手は価格から差し引くべき額を計算できます。逆に、潜在的なコストがわからないままだと、買い手は最悪を想定して保守的な価格を出さざるを得ません。老朽化そのものより、改修コストが不透明なことのほうが価格を下げる直接的な原因になります。

まとめ|「事業価値」と「不動産価値」を算出する重要性

旅館・ホテルのM&A相場は、EV/EBITDA倍率で地方旅館4〜7倍、都市型6〜10倍、リゾート7〜11倍が目安で、不動産としての利回りは都心4%台、地方6〜7%前後が2026年の水準です。売却価格は、RevPARから客室売上を出し、GOPを調整後EBITDAに引き直し、倍率と還元利回りの両方で価値を出したうえで、借入を引いて手取りを見る、という手順で逆算できます。事業価値と不動産価値のどちらが大きいか、そしてどの買い手の投資基準に乗るかで、同じ施設でも価格は数億円変わります。売却の12か月前から運営データを整備し、修繕と遵法性の状況を数字で示せるようにしておくことが、レンジの上限を取るための第一条件です。弊社では、事業価値と不動産価値の両面からの企業価値算定と、買い手の属性に応じたスキーム設計に関する個別面談を承っています。ご気軽にご相談ください。

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★ 参考にしたURL

https://relohotel-solutions.com/column/hotel-valuation/

https://kanteishi-real-estate.com/hotel-jigyou-bunri/

https://tabipa-ma.com/blog/how-to-sell-hotel-high-price/

https://mastory.jp/%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB%20%E6%97%85%E9%A4%A8%E3%81%AE%E5%A3%B2%E5%8D%B4

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB200OV0Q6A220C2000000/

https://research.nicoxz.com/articles/hyatt-tokyo-reit-record-acquisition

https://www.japan-reit.com/meigara/8985/

https://www.jhrth.co.jp/ja/portfolio/list.html

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https://media.monex.co.jp/articles/-/23080

https://hotelbank.jp/investment/cbre-caprate-2026q1-tokyo-kyoto-osaka-fukuoka/

https://ma-succeed.jp/project/industry/small/SVM05S001

https://macloud.jp/selling_targets/industry_categories/hotel