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カーブアウトM&Aとは|「閉店」と「譲渡」で生まれる違い

カーブアウトM&Aとは、会社が運営する複数の事業のうち、特定の店舗だけを切り出して外部の会社に売却する手法です。会社そのものは残るため、経営権を維持したまま資金を得ることができます。本手法は以下のような目的をもつ事業者に有効です。

図解:カーブアウトM&Aとは|「閉店」と「譲渡」で生まれる違い
  • 業態の切り離し : 複数業態のうち、一つの業態だけを分離して売却する
  • 店舗・エリアの切り離し : 採算が取れている店舗だけを売却する
  • FCオーナーへの譲渡 : 直営店のフランチャイズ化によりロイヤリティ収入に切り替える
  • 機能の切り離し:物販・EC、給食・弁当部門など、店舗以外の機能を分離する

不採算店舗を「閉店」で処理する場合、原状回復費用、厨房機器リースの残債精算に関する費用などがかかります。一方、「譲渡」の場合、立地・スタッフ・店舗レビューなど、総合的な評価を受けるため、同じ撤退でも、出費で終わるか収入になるかで結果が正反対になります。

2026年の飲食M&A、最新3事例

ここでは2026年に発表された上場外食企業のM&A事例について紹介します。

  • 店舗事業の一部を事業譲渡
    2026年2月、サンマルクホールディングス傘下の京都勝牛は、牛カツ業態116店舗のうち飲食店運営事業の一部をATCダイニングへ譲渡しました。同年7月には海帆が、居酒屋業態「新時代」の運営店舗に係る事業を、同業態のフランチャイズオーナーであるファッズへ譲渡すると発表しました。海帆はこの譲渡を財務体質強化に充てるとしています。
  • 子会社ごと株式譲渡

2026年8月、回転寿司大手FOOD & LIFE COMPANIESは、持ち帰り寿司の京樽の全株式を「和食さと」のSRSホールディングスへ譲渡すると発表しました。主力の回転寿司に集中したい売り手と、和食ポートフォリオを広げたい買い手の利害が一致した、業態単位のカーブアウト事例です。

  • 海外部門・非中核事業の切り離し

2026年、WDIは点心専門店「添好運(Tim Ho Wan)」の米国法人の持分と北米展開権を譲渡する一方、日本の運営会社は完全子会社化しました。同年9月には、きちりホールディングスが地方創生事業を新設分割で別会社に切り出しています。

直近だと買い手側の動きも活発です。2026年3月にすかいらーくが投資ファンドから「しんぱち食堂」を、コロワイドが「珈琲館」「カフェ・ベローチェ」のC-Unitedを取得し、6月にはサンマルクHDが食べログ百名店のベーカリーカフェを子会社化しました。「1業態・1店舗でも、強いブランド力と集客力が見込められれば優良企業が買う」相場が形成されていることが確認できます。

飲食店の一部事業を売却する3つの方法

スキームは大きく3つです。どれを選ぶかで、営業許可や店舗賃貸借の引き継ぎ方、税金、期間が変わります。

図解:飲食店の一部事業を売却する3つの方法(1)
  • 事業譲渡

対象の店舗の契約・従業員の扱いを個別に指定して譲渡するタイプです。

  • 向いているケース
  • 1〜数店舗など、店舗単位で切り離したい場合に有効です。
  • 小規模な店の事業承継の場合、事業主はこちらの方法を採用することが多いです。
  • 注意点
  • 飲食店の営業許可は承継されません。そのため、買い手側が新規で取得する必要があります。
  • 店舗が賃貸型の場合は、大家からの承継に関する承諾が必要になります。
図解:飲食店の一部事業を売却する3つの方法(2)
  • 会社分割 + 株式譲渡

対象の業態を新会社に分割、帰属させ、その株式を譲渡する形式です。前項で紹介したきちりHDの事例が該当します。

  • 向いているケース
  • 一定の規模で業態を切り出す場合。1エリアや事業構造全体まで渡す場合に有効です。
  • 注意点
  • 許認可周りや従業員の人件費などを包括承継する形態のため、それに伴う管理コストが発生します。
  • 債務者保護手続きなどで、実際譲渡までに2〜3カ月を要することが多いです。
図解:飲食店の一部事業を売却する3つの方法(3)
  • 子会社の株式譲渡

すでに別法人にしている業態の株式を譲渡する形です。

  • 向いているケース
  • すでに業態ごとに法人を分けて運営している会社だとスムーズな譲渡が可能です。
  • 注意点
  • 本手法だと買い手側は最もリスク評価に慎重になります。シビアなデューデリジェンス調査が行われます。

小規模な店舗単位なら①の事業譲渡、業態ごと切り出すなら②の会社分割型が一般的です。買い手が営業許可の再取得や賃貸借の再契約を嫌う場合は、③の株式譲渡型が選ばれやすくなります。

飲食店ならではの実務論点

ここまで飲食業のM&Aに関する方法やメリットについて説明してきました。しかしその一方で、製造業やIT系の業態にはない、飲食業態特有の論点について整理します。

図解:飲食店ならではの実務論点
  • 飲食店営業許可が承継不可であること
    事業譲渡では買い手が保健所で新規取得する必要があり、その間店舗を営業するのは不可能です。株式譲渡・会社分割の場合、許可は維持されます。
  • 店舗賃貸借契約の譲渡承諾
    賃借人が変わる事業譲渡では、大家の承諾がなければ店舗を引き継げません。承諾料や賃料改定を求められることもあるため、事業譲渡検討開始時、早い段階から交渉する必要があります。
  • 厨房機器のリース残債
    リース契約は自動では移転しないため、契約者変更か一括精算かを買い手と合意形成し、譲渡価格に反映させなければいけません。
  • 料理長・店長の転籍に関する懸念
    飲食店、特に小規模な店舗ほど、料理人やスタッフに高い価値が見出されます。事業譲渡では一人ひとりの同意が必要となり、会社分割では労働契約承継法の手続きが求められます。キーパーソンの残留条件は価格と同じ重さで交渉されます。
  • レシピ・屋号・仕入契約・FC契約の帰属。複数業態で共有しているセントラルキッチン、レシピ、仕入先との契約、FC本部との契約をどこで切り分けるかを事前に決めておきます。

まとめ|「全部手放す」か「閉店」かの二択ではない

不採算業態や非中核事業の整理は、「会社ごと売る」か「閉店する」かの二択ではありません。2026年の上場外食企業がそうしているように、一部だけを切り出して譲渡する方法があります。観光地立地やインバウンド比率の高い業態は、いまが最も高く評価されやすい局面です。まずは切り出し候補の業態について、単体でいくらの価値がつくのかを把握することから始めましょう。

弊社では対象事業の企業価値算定と、スキーム・タイミングに関する個別面談を承っています。ご気軽にご相談ください。

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★ 参考にしたURL

https://www.nihon-ma.co.jp/news/gyokai.php/?gcode%5B%5D=g0760&gname=%E9%A3%B2%E9%A3%9F%E5%BA%97

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260907_3082-8/

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260818_3068-12/

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260818_3068-13/

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260807_8163-10/

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260715_3133-32/

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260630_8153-10/

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260617_3395-27/

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260324_3197-16/

https://careerladder.jp/blog/carveout-ma-market-trend/
https://zidaiinc.com/ma/carve-out-ma/
https://pos-cube.com/inshoku-keiei/trend/2026-gaishoku-trends-checklist/
https://www.japanticket.com/column/visito-to-japan/inbound-restaurant-success-casestudy/
https://note.com/umaki11/n/nb8f282dda30e
https://mastory.jp/%E9%A3%B2%E9%A3%9F%E6%A5%AD%E7%95%8C%E3%81%AEma
https://masouken.com/%E9%A3%B2%E9%A3%9F%E5%BA%97M&A