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本記事では、飲食店M&Aで最も使われる評価指標「EBITDA倍率」の仕組みと、2026年に実際に成立した外食M&Aの価格から読み取れる買い手の評価軸、そして高く評価される飲食店の条件について解説します。
飲食店の企業価値はどう計算されるのか|EBITDA倍率の基本

中小企業のM&Aで企業価値を測る方法は大きく分けて以下の3つです。
- コストアプローチ : 純資産をベースにして評価をする方法
- DCF法 : 将来のキャッシュフローを割り引いて評価する手法
- マルチプル法 : 類似企業の取引倍率を当てはめて試算する方法
飲食店のM&Aでは、計算が簡単で買い手・売り手双方が納得しやすいマルチプル法、なかでもEBITDA倍率が最も普遍的に使用されています。
EBITDA(イービットディーエー)とは「営業利益+減価償却費」のことで、内装や厨房機器の償却負担を除いた、店舗が本業で売上を立てる力のことを表します。飲食店は出店時の設備投資が大きく減価償却が重いため、営業利益ではなくEBITDAで比べたほうが実態に近いのです。企業価値は次の2段階で計算します。
- 事業価値(EV)= EBITDA × 倍率
- 株式価値(売却で手にする額)= 事業価値 − 純有利子負債(借入金 − 現預金)
例として、営業利益6,000万円・減価償却費2,000万円の会社だとしましょう。この場合、EBITDAは6,000万円 + 2,000万円 = 8,000万円となります。倍率が仮に4倍だとした場合、事業価値(EV)は3億2,000万円、そこから借入金の残り8,000万円を引いた2億4,000万円が株式の値段になります。

※ 中小企業のM&A現場では「修正純資産+営業利益×2〜5年分」という年買法(ねんばいほう)もよく使われます。EBITDA倍率と年買法の両方で試算し、幅を持って価格を捉えるのが実務的です。
飲食業のEBITDA倍率の相場|規模で3〜5倍から10倍超まで分かれる

EBITDA倍率は当然ながら規模によって大きく変化します。中堅・中小企業の会社売却全般では2〜10倍程度が適正値とされ、飲食業はそのなかでも低めの水準です。これは店舗の陳腐化が早く、人手不足や原材料高で利益が振れやすいためです。以下が倍率の目安になります。
高く評価される飲食店の7つの条件
2026年最新の案件状況や、中小飲食法人の売却実務から導かれる「倍率を押し上げる条件」として以下の条件が挙げられます。
- 月次の店舗別損益データがあること
店舗ごとの月次売上・FLコスト・家賃・利益のデータが揃っていれば、透明性の高い企業評価が可能になるため、必然的に評価額も高くなります。 - 料理長・店長に依存していないこと
レシピや仕込みがマニュアル化され、キーパーソンが辞めても味と回転が維持できる仕組みは、そのオペレーション自体に価値がつくため高評価につながります。 - FLコスト率が60%以下に収まっていること
2025年の飲食店倒産は900件と過去最多で、価格転嫁できない店から淘汰されています。そのため、FLコスト率が低いと許容度が高いとみなされ、有料店舗だとみなされます。 - 観光地立地・インバウンド比率が高いこと
訪日客の比率、客単価、多言語対応の実績は、観光特化の買い手が最も高く評価する項目です。 - 許認可・労務が健全であること
営業許可の名義、深夜酒類提供の届出、未払残業代や社会保険の未加入がないこと。デューデリジェンスで発覚すれば価格から直接引かれることになります。
まとめ
飲食店の企業価値は、EBITDAに倍率を掛け、借入を引いた額で決まります。倍率は中小規模で3〜5倍が目安ですが、再現性のある店舗モデル・立地網・成長余地を証明できる会社だと通常の評価レンジよりも高い倍率がつく可能性が十分にあります。店舗別損益の整備、属人性の解消、賃貸借と労務の健全化は、いずれも売却の12か月前から着手すれば間に合うものばかりです。インバウンドで業績が伸びている観光地の飲食店にとって、いまは最も高く評価されやすい局面です。弊社では、飲食業に特化した企業価値算定と、売却前の磨き上げ・タイミングに関する個別面談を承っています。ご気軽にご相談ください。
★ 参考にしたURL
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF16A6S0W6A410C2000000/
https://ma.kotora.jp/archives/ma-news/ma-news-5718
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d9194e46a02fcb39a389646404d9aad3cc3de03b
https://www.projectdesign.jp/articles/news/078a1697-c56c-4cea-8213-428330db052f
https://www.ryutsuu.biz/strategy/s032450.html
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260617_3395-27/